暗号資産の積立や長期保有を続けるうえで、「入金のたびに数百円ずつ手数料を払っていた」という状態は、じわじわとパフォーマンスを削る原因になります。本記事では、日本円を暗号資産取引所に入金する際の手数料の仕組みと、国内主要取引所の最新状況を比較しながら、「実質ゼロ」に近づけるための具体的な方法を整理します。各社の情報は、必ず公式サイトやヘルプなど一次情報にあたって確認していますが、手数料やサービス内容は変更されることがあるため、最終的にはご自身でも最新情報をチェックするようにしてください。
暗号資産の入金手数料とは?

入金手数料=「日本円→取引所」までのコスト
入金手数料とは、銀行口座などから暗号資産取引所の口座に日本円を移すときにかかるコストのことです。たとえば、コインチェックでは「銀行振込」「コンビニ入金」「クイック入金」という三つの方法があり、このうち銀行振込は取引所側の入金手数料は無料ですが、コンビニやクイックを使うと一回あたり数百円の手数料が発生します。重要なのは、「取引所側の入金手数料」と「銀行が取る振込手数料」は別物だという点です。取引所が「入金手数料無料」と書いていても、銀行振込の手数料は利用者負担というケースがほとんどなので、「どこに、いくら払っているか」を分けて考える必要があります。
銀行振込・即時入金・コンビニ入金の違い
日本円の入金方法は大きく分けて「銀行振込」「即時入金(クイック入金などの名称)」「コンビニ入金」の三つがあります。銀行振込は、銀行のインターネットバンキングや窓口から、取引所が指定した口座に送金する方法で、多くの取引所で「入金手数料自体は無料、ただし振込手数料は各銀行の負担」という形になっています。即時入金は、提携しているネット銀行などから、二十四時間ほぼリアルタイムで反映される方法で、GMOコインやビットポイントではこの即時入金の手数料を取引所側が負担して無料にしています。コンビニ入金は、コンビニ設置端末を使って現金で入金する方法で便利ですが、コインチェックのように七百七十円から一千十八円と、比較的高い手数料が設定されていることが多く、頻繁に使うと負担が大きくなりがちです。
出金手数料・送金手数料とは別である理由
入金手数料と混同しやすいのが「出金手数料」と「暗号資産の送金手数料」です。出金手数料は、取引所にある日本円を自分の銀行口座に戻すときのコストで、コインチェックでは一律四百七円、楽天ウォレットでは三百円など、固定額で設定されているケースが多いです。暗号資産の送金手数料は、ビットコインなどの暗号資産を外部ウォレットや別の取引所に送るときにかかるコストで、ブロックチェーンの混雑状況などにも影響されます。入金手数料は「日本円をどのルートで取引所に運ぶか」の費用であり、出金・送金とは別のレイヤーでコストが積み重なるため、「入金は無料でも出金が高い」「暗号資産送金が高い」といったパターンも含めてトータルで見ることが重要です。
国内主要取引所の「入金手数料」比較一覧(2025年版)

ここでは、個人が現物取引や積立でよく利用する代表的な国内取引所について、日本円入金の手数料を「公式情報ベース」で一覧に整理します。「無料」と書かれている場合でも、多くは「振込手数料は各銀行所定額」とされている点が共通していることに注目してください。
※2025年11月時点、各社公式ページおよび公式記事をもとに作成。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
| 取引所名 | 銀行振込による日本円入金手数料 | 即時入金・クイック入金手数料 | コンビニ入金手数料 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ビットフライヤー | 取引所側は無料(振込手数料は利用者負担) | 住信SBIネット銀行からは無料/その他銀行からは一件三百三十円(税込) | 一件三百三十円(税込) | クイック入金分は一定期間、日本円や暗号資産の外部送付に制限あり |
| コインチェック | 銀行振込の場合、取引所側の入金手数料は無料(振込手数料は利用者負担) | クイック入金は三万円未満七百七十円、三万円以上五十万円未満一千十八円、五十万円以上は入金額×〇・一一パーセント+四百九十五円 | 三万円未満七百七十円、三万円以上三十万円以下一千十八円 | 出金手数料は日本円一律四百七円 |
| GMOコイン | 振込入金は入金手数料無料(振込手数料は利用者負担) | 即時入金の手数料は取引所が負担し無料 | 公式案内は即時入金中心で、コンビニ入金は提供していない構成 | 日本円出金・暗号資産送付も原則無料(一部大口出金を除く) |
| ビットバンク | 日本円入金手数料は無料(振込手数料は自己負担) | 即時入金サービスは銀行振込ベースで、取引所側手数料は無料 | コンビニ入金は提供していない構成 | 日本円出金は三万円未満五百五十円、三万円以上七百七十円 |
| SBI VCトレード | 日本円入金手数料は無料(各銀行の振込手数料のみ負担) | 即時入金も取引所側手数料は無料の扱い | コンビニ入金は提供していない構成 | 日本円出金手数料も無料 |
| BITPOINT | 銀行振込・即時入金とも入金手数料無料(振込手数料は利用者負担) | 即時入金は提携三行から無料で利用可能 | コンビニ入金は無し | 日本円出金は月一回無料、二回目以降は一回三百三十円 |
| 楽天ウォレット | 日本円入金手数料無料(振込元金融機関の手数料は利用者負担) | 即時入金サービスは銀行振込ベースで、取引所側手数料は無料 | コンビニ入金は無し | 日本円出金は一回三百円(税込) |
| LINE BITMAX | 銀行口座からの入金手数料は無料(各銀行の振込手数料は別途) | ペイペイ残高からの入金も無料(利用時に自動的に行われる仕組み) | コンビニ経由の入金機能は無し | 出金は銀行口座への出金四百円、ペイペイ残高などへの出金百十円 |
入金手数料を「完全にゼロ」にする5つの方法

① 手数料無料の銀行口座から振込する
最もベーシックで効果が大きいのが、「振込手数料が無料になる銀行」を起点にする方法です。多くの取引所は、日本円の銀行振込について「入金手数料は無料、振込手数料は各銀行所定額」としていますが、銀行側のキャンペーンや会員ランクによっては、他行宛振込が月数回まで無料になることがあります。こうした銀行口座から、GMOコインやビットバンク、SBI VCトレードなど「入金手数料無料」の取引所に振り込めば、日本円を取引所に移す段階でのコストは実質ゼロにできます。あとは、利用頻度や出金手数料も含めて、どの取引所をメイン口座にするかを選んでいくイメージです。
② 「入金無料」の取引所をメインに選ぶ
次に重要なのが、「そもそも入金手数料を取らない取引所を選ぶ」ことです。GMOコインは即時入金の手数料をすべて取引所が負担し、振込入金も取引所側の入金手数料は無料としています。SBI VCトレードやBITPOINT、ビットバンク、楽天ウォレットなども、銀行振込による日本円入金の取引所側手数料は無料と案内しています。一方で、コインチェックのように、コンビニ入金やクイック入金を利用すると一回あたり七百七十円以上かかるケースもあるため、利便性とコストのバランスを見ながら「自分はどの入金方法をよく使うのか」を意識して取引所を選ぶとよいでしょう。
③ 即時入金の無料ラインを活用する
「とにかく早く反映してほしい」という人には、即時入金の無料ラインを上手に使う方法があります。GMOコインは提携金融機関からの即時入金で手数料をすべて負担しており、二十四時間三百六十五日、口座残高が不足したときにもすぐに追加入金できます。BITPOINTも、ペイペイ銀行や住信SBIネット銀行など三行からの即時入金が無料で、入金した瞬間から暗号資産の購入に使えます。一方、ビットフライヤーは住信SBIネット銀行からのクイック入金のみ無料で、それ以外の銀行では一件三百三十円の手数料がかかるため、「どの銀行をメインで使うか」によって有利な取引所が変わってきます。
④ オートチャージ対応の取引所で自動入金を使う
一部のサービスでは、残高が一定額を下回ったときに自動で入金する「自動入金」「オートチャージ」に近い仕組みを提供しています。たとえば、ライン・ビットマックスでは、ペイペイマネーから暗号資産を購入する際に、自動的に残高からチャージされる形で入金が行われ、その際の入金手数料は無料とされています。BITPOINTの即時入金も、提携銀行のインターネットバンキングを通じてほぼリアルタイムで入金されるため、積立のタイミングに合わせて自動的に実行する設定と相性が良いです。自動化することで「入金し忘れ」「残高不足による積立失敗」を防ぎつつ、手数料も抑えられる仕組みを作れます。
⑤ 少額入金はまとめて行う
どうしても入金手数料が避けられないケースでは、「回数を減らして一回あたりをまとめる」という発想も有効です。コインチェックのコンビニ入金やクイック入金は、入金額によって七百七十円から一千十八円、五十万円以上では入金額に応じたパーセンテージ+固定額という形で手数料が発生します。頻繁に一万円ずつ入金するよりも、数か月に一度まとまった金額を入金し、その後は取引所の中で自動積立を設定した方が、トータルのコストを抑えやすいことが多いです。もちろん、「一気に入れすぎると値動きリスクが大きくなる」という側面もあるため、生活防衛資金を確保したうえで、自分の許容範囲にあった金額と頻度を決めることが大切です。
注意点|入金手数料が「無料でも損する」ケース

スプレッドが広いと実質コストが増える
入金手数料がゼロでも、暗号資産の購入時に「販売所」のスプレッドが広いと、実質的なコストは高くなります。販売所では、表示されている買値と売値の差が取引所側の実質的な手数料のようなもので、特にボラティリティが高いタイミングでは、この差が数パーセントに達することもあります。各社の公式ページではスプレッドの具体的な数字までは明示されないことが多いため、板形式の「取引所」を利用できるなら、スプレッドがどの程度か自分で確認する習慣が重要です。入金が無料でも、買う場所によって「見えないコスト」が変わる点は押さえておきましょう。
即時入金後の出金制限に注意
クイック入金や即時入金を使うと、入金した日本円に一定期間、出金や他サービスへの振替制限がかかるケースがあります。たとえばビットフライヤーでは、住信SBIネット銀行以外からのインターネットバンキング入金やコンビニ入金について、七日間はその資金相当分の日本円出金や暗号資産送付ができないという制限を設けています。これは、不正入金などのリスクを抑えるための安全策ですが、「急に日本円を引き出したくなった」「別の取引所に暗号資産を動かしたくなった」といった場面で不便さにつながることもあります。即時入金は便利な一方で、資金のロック期間がないかを事前に確認しておくことが大切です。
銀行の振込手数料が別途かかる可能性
取引所側が「入金手数料無料」とうたっていても、多くの場合は「銀行側の振込手数料は利用者負担」となっています。GMOコインやBITPOINT、SBI VCトレードなどの公式ページでも、振込入金については「入金手数料は無料だが、振込手数料は各銀行所定額」と明記されています。インターネット銀行の無料枠をうまく使えない場合、三百円前後の振込手数料が毎回発生することになり、長期の積立では無視できない金額になりかねません。複数の銀行口座を持っている場合は、「振込無料回数が多い口座を、取引所への入金専用にする」という整理も検討してみると良いでしょう。
名義不一致・振込情報の誤りリスク
銀行振込で日本円を入金する際、口座名義や振込人名義が取引所に登録している氏名と異なっていたり、指定された「お客様番号」などを入力し忘れたりすると、入金が自動で反映されず、問い合わせが必要になることがあります。ビットフライヤーやBITPOINTなどのヘルプページでも、「振込先の口座番号や名義を誤るとアカウントに反映できない」と注意喚起しています。この場合、銀行への組戻手数料が発生したり、資金の返金まで時間がかかったりするため、入金前に「振込先」「名義」「識別番号」の三点を必ず確認するクセをつけておくと安心です。
まとめ|入金手数料ゼロは「取引所×銀行」の組み合わせで決まる
長期積立では入金コストが積み上がる
暗号資産の積立は、「少額を長く続ける」ことが前提になるため、入金手数料や振込手数料のような小さなコストでも、年単位で見ると大きな差になります。一回あたり三百円の手数料を毎月支払うと、一年で三千六百円、十年で三万六千円です。スプレッドや出金手数料も含めて、「どこでどのくらいコストが発生しているのか」を一度書き出してみると、自分の積立ルートの弱点が見えてきます。
無料ルートを設計すれば長期で大きな差に
本記事で見てきたように、「入金手数料無料の取引所」と「振込手数料無料の銀行口座」を組み合わせれば、日本円を取引所に運ぶ段階でのコストは、かなりゼロに近づけることができます。GMOコインやBITPOINT、SBI VCトレード、ビットバンク、楽天ウォレットなどは、入金手数料を無料としたうえで、それぞれ異なる強みを持っています。自分が「どの銀行をメインに使うか」「どのくらいの頻度で積立するか」を前提に、無料ルートを一度設計しておくと、あとからの見直しがぐっと楽になります。
「手数料を減らす」こと自体を仕組み化する
最後に大切なのは、「一度だけ手数料を意識する」のではなく、「手数料を減らした状態を、自動で続けられるようにしておく」ことです。振込無料枠がある銀行を決め、入金先の取引所を固定し、可能なら自動入金や即時入金を積立スケジュールと連動させる。コストを意識しながらも、毎月の運用は「ほぼ何もしなくても続いていく」状態に近づけることができれば、小さく始めて長く続けるという、積立の本来の強みを最大限に活かせます。入金手数料の設計は、そのための土台づくりだと考えてもらえると、具体的な行動に落とし込みやすくなるはずです。