ドルコスト平均法は、投資初心者でも始めやすい買い方として広く知られています。しかし、特に値動きが激しい暗号資産の世界では、そのメリットだけでなくデメリットや注意点もきちんと理解しておく必要があります。本記事では、暗号資産におけるドルコスト平均法の弱点やよくある勘違い、向き不向きのタイプ、デメリットを和らげる工夫まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。
ドルコスト平均法とは何か|暗号資産と相性が良い理由・悪い理由

毎回一定額で買い続ける仕組みとそのメリット
ドルコスト平均法とは、「毎回同じ金額」でコツコツと買い続ける方法です。例えば毎月一万円と決めておけば、価格が高い月は少しだけ、安い月はたくさん買うことになります。これにより、長期的には取得価格が平均されて、たまたま高値で一括購入してしまうリスクを減らす効果が期待できます。価格を予測したりチャートを細かく見る必要がないため、感情に振り回されやすい人や、忙しくて相場を常に追えない人にとって取り組みやすいのが大きな特徴です。
ボラティリティが高い暗号資産とドルコスト平均法の関係
暗号資産は、株式や投資信託に比べて値動きの幅が大きく、一日で十パーセント以上上下することも珍しくありません。この「ボラティリティの高さ」は、安い時に多く買えるという点ではドルコスト平均法と相性が良い側面もありますが、一方で短期間に大きく急落し、そのまま戻らないリスクも抱えています。つまり、値動きが大きいからこそ平均取得価格を下げる効果が働きやすい反面、その分だけ心理的な負担も増えやすいという、光と影の両方が存在する関係だと言えるでしょう。
ドルコスト平均法の主なデメリット

下落相場では「ずっと含み損」が続く可能性
長い下落相場の中でドルコスト平均法を続けると、買い増しをしているにもかかわらず評価額が常に購入額を下回る「含み損状態」が続きやすくなります。理論上は安く買い続けることで平均取得価格は下がりますが、肝心の価格が戻らない限りは損失が解消されません。その期間が数年に及ぶこともあり、途中で不安に耐えられなくなって積立をやめてしまう人も少なくありません。
短期的な価格急騰の恩恵を取り逃すリスク
暗号資産は、短期間に価格が大きく上昇することがあります。一括でまとまった額を投じていれば大きな利益になった場面でも、ドルコスト平均法では少しずつしか買わないため、急騰局面での利益が限定的になる可能性があります。また、「まだ上がるかもしれない」と様子を見ているうちに高値掴みをしてしまうこともあり、結果として一括購入よりも成績が劣るケースも考えられます。
積立頻度が高いほど手数料負担が増えやすい
毎日や毎週など、積立の回数が多くなるほど取引回数も増え、その分だけ手数料が積み重なります。暗号資産取引所では、取引のたびに売買手数料が発生したり、スプレッドと呼ばれる買値と売値の差が実質的なコストとしてかかることもあります。同じ金額を投資するなら、頻度を調整して回数を減らすことで手数料負担を抑えられる場合もあるため、「頻度が高いほど必ず良い」というわけではありません。
購入タイミングを選べないため“割高買い”も避けられない
ドルコスト平均法は、あらかじめ決めた日に機械的に買い付ける仕組みです。これ自体は感情を排除するという意味でメリットですが、同時に「相場が明らかに割高に見える場面」でも自動的に購入してしまうという側面もあります。自分でチャートを見ながら慎重にタイミングを選ぶ投資家に比べると、割高な水準での購入が増える可能性があることも、理解しておきたいポイントです。
暗号資産特有のリスクとドルコスト平均法の相性

ハッキングや破綻などの「資産消失」リスク
暗号資産の世界では、取引所がハッキングを受けたり、運営上の問題から破綻してしまう事例も過去に存在します。ドルコスト平均法で長期間にわたって積み立てていると、多くの資産を一つの取引所に置き続けることになり、万が一のトラブル時に被害が大きくなる可能性があります。元々の価格変動リスクに加え、「預け先そのもののリスク」がある点は、株式や投資信託以上に意識しておく必要があります。
ボラティリティが高すぎて平均取得単価が意味を持たないケース
ボラティリティ、つまり価格の上下の幅が極端に大きい場合、平均取得価格が目安として機能しづらいことがあります。たとえば、短期間で価格が数分の一まで下落し、その後も長く戻らないようなケースでは、どれだけ平均取得価格を下げても含み損が解消されません。理論上は「安く買い続ければ有利」と言われますが、そもそもその通貨の価値が市場から認められなくなれば、平均値そのものに意味がなくなってしまうのです。
取引所のメンテナンス・停止で積立が失敗することがある
暗号資産取引所では、システムメンテナンスやアクセス集中による一時的なサービス停止が発生することがあります。自動積立を設定していても、そのタイミングで取引所のシステムが止まっていると、指定日に買付が行われない場合があります。結果として、安く買いたかった局面を逃してしまったり、想定よりも高い価格帯での購入が増えることもありえます。仕組みに任せきりにせず、ときどき履歴を確認することが大切です。
実際に起こりやすい“勘違い”と落とし穴

「長期なら必ずプラスになる」という誤解
ドルコスト平均法は「長く続ければ損はしにくい」と語られることがありますが、それはあくまで「長期的に価値が増加してきた資産」に当てはまる考え方です。暗号資産には、途中で開発が止まったり、競合に押されて市場から存在感を失ってしまう通貨もあります。そのような場合、どれだけ長期で積み立てても、価格が戻らなければ損失が解消されない可能性があります。「時間が解決してくれる」と決めつけないことが重要です。
「下がったら自動で安く買える」は半分正しく半分誤り
ドルコスト平均法では、たしかに価格が下がるほど多くの数量を買うことができ、平均取得価格は下がります。しかし、それはあくまで「いずれ価格がある程度戻る」という前提があって初めて意味を持つ考え方です。下落が続き、通貨自体の信頼が損なわれてしまえば、安く買い増ししているつもりが「安くなり続けるものを買い増しているだけ」になってしまう危険もあります。安く買えることと、将来プラスになることは、必ずしも同じではありません。
積立設定だけで安心してモニタリングしない失敗
自動積立を一度設定すると、「あとは放っておいても大丈夫」と感じてしまいやすくなります。しかし、手数料体系の変更や取り扱い通貨の見直し、取引所の信頼性の変化など、周辺環境は少しずつ変わっていきます。数年ぶりに口座を開いたら、思ったより手数料がかかっていたり、集中投資になっていたというケースも珍しくありません。最低でも数か月に一度は、積立状況や取引所の情報を確認する習慣を持つことが大切です。
ドルコスト平均法を暗号資産で使うべき人・使うべきでない人

相性が良い人(少額高頻度・値動きに動揺しやすい人 など)
ドルコスト平均法と相性が良いのは、「毎月の余剰資金が限られている人」や「値動きが気になって売買タイミングに迷いやすい人」です。あらかじめ金額と日付を決めておけば、チャートを常にチェックしなくても積立が進むため、心理的な負担を軽くしながら長期の視点で暗号資産に触れることができます。また、一度に大きな金額を投じるのが怖い人にとっても、小さく分散して買っていくスタイルは始めやすい手法と言えるでしょう。
相性が悪い人(短期で結果を求める・手数料が気になる人 など)
一方で、「数か月以内に大きな利益を狙いたい」といった短期志向の強い人や、「手数料をできるだけ抑えたい」と考える人には、ドルコスト平均法は必ずしも向いていません。少額を何度も取引することで、トータルのコストがかえって高くなる可能性があるからです。また、相場の流れを読んで自分でタイミングを判断したい人にとっては、あらかじめ決めた日に淡々と買うスタイルが物足りなく感じられるかもしれません。
デメリットを抑えながら積立を続けるための対策

積立頻度・金額・銘柄を最適化する方法
ドルコスト平均法のデメリットを和らげるには、「どれくらいの頻度で、どの金額を、どの通貨に積み立てるか」を見直すことが効果的です。例えば、毎日ではなく週一回や月一回に変更することで、取引回数を減らして手数料を抑えられます。また、一つの暗号資産に集中しすぎず、複数の銘柄に分散することで、特定の通貨にトラブルがあったときの影響を小さくできる可能性があります。
自動化できる範囲と、手動でチェックすべき範囲
積立の「買い付けそのもの」は自動化してしまって構いませんが、「どの取引所を使うか」「通貨の開発状況やニュースを確認する」といった部分は、人の目で定期的にチェックすることが大切です。完全に任せきりにするのではなく、自動化と手動のバランスを取ることで、手間を減らしつつリスクもコントロールしやすくなります。たとえば、月に一度は積立状況やポートフォリオの構成を見直す日を設けるのも良い方法です。
積立の“中止ライン・増額ライン”を事前に決める
価格が大きく下落したときに慌てないためには、「ここまで下がったら一旦中止」「資産全体のうち暗号資産が一定割合を超えたら増額しない」といった、自分なりのルールを事前に決めておくことが役立ちます。逆に、収入が増えたときや余裕資金が増えたときの「増額ライン」を決めておけば、感情に流されず計画的に積立額を調整できます。こうしたマイルールがあることで、相場のニュースに振り回されにくくなります。
ドルコスト平均法はやめるべき?継続すべき?判断基準

積立を続けるべき相場環境
積立を続けるかどうかは、暗号資産そのものの将来性と、自分の生活状況の両方を見て判断する必要があります。通貨の開発が活発で、利用事例も増えているなど、長期的な成長可能性が感じられる場合には、価格が一時的に下がっていても、無理のない範囲で積立を継続する価値があります。また、生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金の範囲で行っているのであれば、短期的な含み損に過度に振り回される必要はありません。
一時停止・銘柄変更を検討するタイミング
逆に、「生活費に余裕がなくなってきた」「通貨に関する重大な不祥事や開発停止のニュースが出た」などの場合には、積立の一時停止や銘柄の見直しを検討するタイミングと言えます。また、暗号資産の比率が資産全体の中で大きくなりすぎている場合も要注意です。冷静にポートフォリオ全体を見直し、必要に応じて積立額を減らしたり、他の資産クラスへの分散を増やすことも選択肢に含めましょう。
まとめ|ドルコスト平均法は“弱点を理解して使う”と最も効果を発揮する
デメリットを理解することが最大のリスク管理になる
ドルコスト平均法は、暗号資産にコツコツと長期的に投資したい人にとって心強い手法ですが、決して魔法のような仕組みではありません。下落相場で含み損が長く続く可能性や、手数料の増加、取引所リスクなど、暗号資産ならではのデメリットを理解したうえで使うことが何より大切です。「なぜこの方法を選ぶのか」「どこまでリスクを取るのか」を自分の言葉で説明できるようになれば、積立はより納得感のあるものになり、続けやすくなります。